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麻疹・風疹撲滅キャンペーン

  • 2008年4月25日

江戸川区で、MR2期・3期・4期の接種票交付(郵送)が一斉に始まりました。MR3期と4期についてはご存じない方がたくさんいらっしゃいます。麻疹(はしか)と風疹の撲滅のための大切な予防接種ですので、接種漏れのないよう少し解説をさせていただきます。

一昨年の予防接種法一部改正で、麻疹(はしか)免疫(抗体価)の減衰を防ぐために、それまで1回接種だった予防接種を全員2回接種することにしました。同時にそれまで麻疹と風疹別々だったワクチンを混合にして使用(MRワクチン)することとしました。MRワクチンのMは麻疹=measlesのM、Rは風疹=rubellaのRです。

1回目の接種をMR1期といい、1歳から2歳の間の1年間(2歳になる前日まで)に接種することになっています。2回目の接種(MR2期)は小学校に入る前の1年間(3月31日まで)に接種します。現在の小学校2年生からこの制度が適用されるようになったのです。もちろん今年の新1年生も昨年から今年の3月31日にかけて接種をすませているはずです。

ところが現在の小学校3年生以上の年齢のお子さんはこの制度からはずれてしまったわけです。そこへもってきて10代後半から20代前半の青少年の間での麻疹流行が、昨年も今年もありました。そうでなくても日本は「麻疹の輸出国」とアメリカから名指しで非難されるなど先進国の中では数少ない麻疹発生国ですから、厚生労働省としても黙って見過ごすことができなくなってしまいました。

日本で麻疹がまだ発生するのはひとえに予防接種率の低さによるものです。そこで厚生労働省は、接種率を向上させて2012年までに麻疹(ついでに風疹)を撲滅し、「麻疹輸出国」の汚名を晴らすという一大キャンペーンを開始することにしたのです。そこで登場したのがMR3期とMR4期で、2012年までに日本のすべてのこども(1歳から20歳)が全員MRワクチンを2回接種した状態にしてしまおうという計画です。

具体的にどのような作戦かといいますと、MR1期とMR2期は現在行われている制度をそのまま今まで通り続けます。2008年(今年)から2012年までの5年間に限っては(時限措置)、中学1年生全員にMR3期を接種し、高校3年生(及びそれに相当する年齢の方)全員にMR4期を接種します。

すると2012年にはどうなっているかといいますと、今年MR1期を受ける1歳代のお子さんは2012年にちょうどMR2期の接種時期(2回目の接種)を迎えます(正確には2013年3月31日まで)。今年MR2期を受ける(来年4月に小学校に入学する)お子さんは2回接種完了。以後すべての年で2回接種を完了して2012年を迎えることができます。そしてそのまま続けられます。今年小学校3年生から6年生になったお子さんはまだMR2期が実施される前に小学校に入ってしまったのですが、現在の6年生は来年(2009)中学校に入って(中学1年生)MR3期を受けることになります。現在の5年生は再来年(2010)と順番に行って、2012年には現在の小学3年生が中学1年生になってMR3期を受けて、現在の小学生全員のMR2回接種が完了します。中学生も同様で、今年の中学1年生は今年(2008)MR3期を受け、2年生は4年後の2012年に高校3年生(相当年齢)でMR4期を受けることになり、やはり2012年に現在の中学生全員のMR2回接種が完了します。現在の高校1年生と2年生はそれぞれ再来年と来年で完了です。

まあずいぶんと気の長い話ですが、とにかく2012年には21歳以下の日本人はすべて、少なくとも麻疹の予防接種を2回受けたことになっている、したがって麻疹は撲滅される、2013年以降はMR1期とMR2期だけを続けていけばよいという目論見なんですね。2012年には撲滅されるかもしれないけど、それまでの間は、年齢の狭間で無料の予防接種を受けられないお子さん達には感染の危険があるということなんです。麻疹を撲滅することで「国のメンツ」は立ちますが、個人の麻疹予防は個人でお考えくださいということですね。

ですからご心配な方は、有料で個別に予防接種を受けていただくしかありません。そして、個別の接種を受けたお子さんがMR3期あるいはMR4期に該当する年齢になったときさらに接種を受けるべきかどうかという問題も発生するかもしれませんが、これは一人一人の予防接種歴を見て考えるしかないでしょう。

MR3期とMR4期の予防接種は学年(年齢)によってどちらか1回だけ受ければよいのですが、接種票が2枚送られてきます。でも2回接種するわけではありません。ベージュ色の接種票の左の方をご覧になると「保護者同伴用」と書いてある接種票と「保護者同伴なし」と書いてある接種票であることがわかります。

未成年者に行う医療行為は基本的にすべて保護者の承諾を必要とします。予防接種ももちろん例外ではありません。しかし、中学生や高校生になると保護者が同伴すること自体いやがってしまうことがあるし、学校その他のスケジュールと保護者の方のスケジュールがうまく調整できない場合もあります。

そこで今回のMR3期とMR4期の予防接種に限って、事前に保護者の方に説明書をよく読んでいただき、すべてを理解した上で医療機関に判断をお任せいただけるという場合には、保護者同伴でなくても予防接種を行えることにしたのです。

保護者同伴の場合には今までと同じで、「保護者同伴用」の接種票ともしあれば母子手帳をお持ちいただければ接種できます。同伴でない場合には、保護者の方にはA3の大きな紙に書かれた説明文をすべて読んでいただき、サインをしていただき、「保護者同伴なし」の接種票とこの大きな説明書(サイン済み)をお子さんにお持たせいただくことで接種ができます。

江戸川区のほうでは、実際にはどちらか1種類の接種票があれば済むのだけれど、医療機関へは両方お持ちいただいて、不要のほうを医療機関で保管するようにしてほしいといっています。皆様のご協力をお願いいたします。

MR3期とMR4期の予防接種の際には2種類の接種票を両方お持ちください。

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