- 2017年9月12日
そろそろインフルエンザの予防接種を考える季節がやって参りました。
ご存じのようにインフルエンザウイルスは変異が早く、翌年には遺伝子型が変わってしまうため、毎年の予防接種が必要です。
かといって、インフルエンザがはやり始めてからウイルスを同定して、それからインフルエンザワクチンを作っていたのではインフルエンザの流行期には間に合いません。
そこで前の年のワクチンに使用したウイルス株(ワクチンを作る素になるウイルス)のうち、変異が少ないだろうと考えられるウイルス株はそのまま使用し、変異が大きくて前年のままでは対応できないと考えられるウイルス株を変えるという方法がとられています。
インフルエンザウイルスにA型とB型があることはどなたもご存じですが、A型ウイルスは構造の違いがはっきりしていて、H1N1とか、H3N2といったタイプを区別することが出来ます。
現在季節性インフルエンザとして流行しているのがこの2つのタイプのA型インフルエンザウイルスです。
一方B型ウイルスはA型ほどはっきりした区別をつけられませんが、現在では遺伝子変異の流れから系統としていくつかの系統に分けることが出来ます。それらのうち主に2種類の系統のB型ウイルスが毎年の流行を起こしています。
過去のインフルエンザワクチンはA型に対してはH1N1とH3N2の2種類のウイルス株が、B型に対しては系統分類が当時はまだはっきりしていなかったために1種類のワクチン株が含まれていました。
それが理由がどうかはわかりませんが、インフルエンザワクチンはB型にはあまり効かないと言われていました。研究が進んでB型の系統がわかってきたため、それでは2種類のワクチン株を使ってはどうかということになり、2年前から使われているワクチンにはB型のほうも2種類の系統のウイルス株が含まれるようになりました。
それでB型にもよく効くようになったかどうかは色々な研究機関で検証が行われていますが、まだ公表するに至っていないようです。
ということで、2017-2018シーズンのインフルエンザワクチンがどうなったかといいますと、A型のH3N2とB型の2種類のウイルス株は去年と同じで、A型のH1N1だけが新しいウイルス株に変わりました。
同じH1N1なのにどこが違うの?と思われるかもしれません。H1N1というのはインフルエンザウイルスの膜の構造を表しています。膜の構造は変わらないけれど、遺伝子は常に変異を続けているのです。
過去に実際に採取された莫大な数のインフルエンザウイルスの遺伝子構造の中から、その年から翌年までに変異するであろう遺伝子構造(予測)に一番近いものをウイルス株として採用するのです。
その結果が去年と比べてH1N1だけが新しくなった今シーズンのインフルエンザワクチンということです。
ワクチンのことはわかったけど、こども診療所での予防接種はどうなっているのという疑問には近日中にこども診療所のブログhttp://mizuechan.seesaa.netに掲載致します。
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