- 2007年10月14日
10月9日(火)に恒例の「みずえちゃんひろば」が開かれました。毎年10月には岡本院長がインフルエンザの対処法についてお話しするミニミニ講演会になっています。今年のひろばに参加してくださった皆さんにお配りしたパンフレットの内容を掲載いたします。資料ですので講演でお話したことのすべてではありませんが、だいたいのことはご理解いただけると思います。
インフルエンザ対策 2007/08 −予防と治療−
インフルエンザの予防
2006-2007シーズンのインフルエンザワクチンの接種本数 = 1,877万本
(医薬品・医療機器等安全性情報 No.240)
インフルエンザワクチン
1本で成人2人
2本で小学生約3人が接種を受けることができる
少なくとも2,000万人以上の人が接種を受けたと考えることができる
副反応はどうだったか?
厚生労働省への届け出は107症例・149件
内訳は?
神経系 | 中枢神経系 | 26件(内6件が痙攣) |
末梢神経系 | 4件 | |
アレルギー系 | 19件 | |
発熱 | 11件 | |
注射部位の発赤腫脹 | 8件 | |
肝機能障害 | 7件 | |
その他 | 74件 |
この数字は多いのか?少ないのか?
149÷18,770,000=7.938199/100万≒0.8/10万
国際的に10万人に1人以下の副反応であれば安全とみなす
後遺症は? 6名
1) | 50代女性 | 脳脊髄炎 | ワクチンとの因果関係=否定できない |
2) | 10代男性 | ギランバレー症候群 | ワクチンとの因果関係=否定できない |
3) | 10歳未満男児 | 顔面神経麻痺 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
4) | 50代女性 | 脳血管炎 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
5) | 10代男性 | 局所疼痛 | ワクチンとの因果関係=否定できない |
6) | 10代女性 | 脳脊髄炎 | ワクチンとの因果関係=否定できない |
亡くなった方は? 5名
1) | 80代女性 | 急性心筋梗塞 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
2) | 60代男性 | 肺炎・肺水腫 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
3) | 60代男性 | 突然死 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
4) | 70代男性 | 不明熱 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
5) | 80代男性 | 肺炎 | ワクチンとの因果関係=評価できない |
2000万人が予防接種を受けて10人の方が亡くなったり後遺症を残したりした
すべてワクチンが原因だと仮定して
10/20,000,000=0.05/10万 ・・・・・ 確率的に言えば”安全”
西洋人はこれでホントに安全だと信じられる(自分は大丈夫!)
日本人は確率に馴染めない(もしそれが自分だったらどうしよう!)
効果はどうだったか?
専門家は「発病を予防する」という言い方から「重症化を予防する」に変えた
高齢者では肺炎などの合併による死亡を防ぐことができる
小児ではかかってしまえばやはり大変(かかること自体が重症)
しかし、ワクチンを接種してインフルエンザ脳症で死亡した小児はいない
ワクチン以外に予防法はないのか?
インフルエンザウイルスの特徴 = 寒さと乾燥にめっぽう強い
対策としては暖かくして(厚着ではない)部屋の湿度を保つ
換気も大切・・・なぜ?
ウイルスの量が少なければ感染しても自力でやっつけることができる
しかしインフルエンザウイルスの増殖速度はとても速い
1個のウイルスが8時間後には100万個に増える
人間の鼻やのどの粘膜にとりつかなければ増殖しない
無用の外出(特に人混み)を避ける → 帰宅したらうがいと手洗い
過労・睡眠不足を避ける + 十分な休養とバランスのとれた栄養
集団生活での感染拡大予防
麻疹(はしか)の流行
麻疹は潜伏期間が長いので二次感染を防ぐために時間をとれる
インフルエンザは潜伏期間が短い(1〜4日)
二次感染を予防する時間的余裕がない
さあ、あなたは予防接種を受けますか?
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インフルエンザの治療
去年までは・・・・・「神様・仏様・タミフル様」
去年からは・・・・・「恐怖のタミフル」
異常言動 → 飛び降り死・・・・・・・・・・・なぜ?
日本以外ではほとんど報告されていない・・・・・なぜ?
嘔吐・低体温・呼吸抑制も起こっている・・・・・なぜ?
考えるヒント
タミフルの消費量(2004-2005):1年の生産量の70~75%を日本で消費
タミフルの認可:承認のための資料のかなりの部分が外国人での治験
日本人とではクスリに対する反応が違う?)
言動・嘔吐・体温・呼吸: コントロールしているのは? YES! NO(脳)
タミフルの添付文書(2003.7)・・・その他の副作用の欄(頻度不明)
精神神経系:幻覚・興奮・振戦・しびれ・妄想・せん妄・痙攣・嗜眠
(下線部はカプセル剤のみ)
2003年の時点ですでに副作用報告は出ていた!
タミフルによる異常言動?(FDAの解析=103症例中95症例は日本の症例)
大部分は1回目服用か2回目服用のあと4時間以内に起こっている
1回目服用後の発症が多い!(マウスを使った動物実験でも)
リレンザ(ザナミビル) = タミフル(オセルタミビル)に代わる治療薬?
クスリの働きは同じ・・・・・投与の仕方が違う
タミフル=内服
リレンザ=吸入 (自分で吸い込む)
年少児では難しい!
リレンザは安全か?・・・・・添付文書(2005.11)
呼吸器系 :気管支攣縮・呼吸困難(頻度不明)
かすれ声(0.1〜1%)
精神神経系:頭痛(0.1〜1%)・手足のしびれ感・不眠症(0.1%未満)
投与法の違い←インフルエンザウイルスは鼻とのどの粘膜でしか増殖しない!
内服=全身に回る
吸入=咽頭粘膜およびその周辺器官だけ・・・合理的!?
抗インフルエンザウイルス剤以外の治療法=対症療法(他の風邪と同様)
解熱剤はなるべく使わない・・・・・ライ症候群
さあ、あなたはどんな治療を望みますか?
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漢方薬の話題
麻黄湯・桂枝湯・葛根湯(葛根湯は葛根と麻黄と桂枝を混合したもの)
特に麻黄湯は乳児にも使用できる?(添付書には使用経験少ないと書いてある)
「こどもの風邪には黄麻湯!」と言い切っている漢方薬局もある
ある小児科医(西洋医学)のブログ
「黄麻湯はときに不眠症を引き起こしますが、そんなときは桂枝湯を加えるとよく眠れるようになります」
・・・・・不眠症って「証」を見誤ったんじゃないの?
漢方専門医は警告する(ブログの文章をそのまま転載)
「このようにタミフルの代替としても麻黄湯は、解熱作用においてタミフルを上回るというデーターもあるらしいが、今度は麻黄湯の乱用によって、証を間違って投与された場合の虚証患者に対する副作用の出現が心配である。
発汗過多による心臓衰弱など、適用を誤ると漢方処方の中ではかなり作用の激しい部類に属する麻黄湯である。
明らかな傷寒として発病した場合、強い悪寒とフシブシの疼痛や頭痛が顕著で無汗など、条件がしっかり揃った表寒・表実証であれば麻黄湯による副作用の生じる可能性は極めて少ない。
ところが、昨今しばしば見られる悪寒よりも熱感が目立ち、咽喉腫痛を伴って、最初から汗ばんでいるような風熱表証を呈する場合に、誤って麻黄湯を使用するとかなり危険である。発汗過多によって一気に体力を消耗する恐れが強いのである。この場合は明らかに誤治であるから麻黄湯を即刻中止しなければならない。
実際にはこのような咽喉腫痛を伴う風熱表証では銀翹散製剤(天津感冒片など)を用いるべきである。高熱を早く下げたければ板藍根と地竜を加えれば速効が得られることも多い。
タミフル騒動のお陰で、今後医療界では保険漢方による麻黄湯が乱用される恐れ無きにしも非ず。くれぐれも弁証を誤らないことを祈るばかりである。」
西洋医学と東洋医学の違い
西洋医学:
病気を起こしている原因を見つけて取り除こうとする(症)
=病気そのものを攻撃する=悪く言えば「十把一絡げ」
東洋医学:
普段どのような体質の人が今病気でどのような状態になっているかを見極めもとの状態に戻そうとする(証)
からだ全体を治そうとする=よく言えば「一人一人に対応」
現在の漢方薬の使われ方
西洋医学を学んだ医者が西洋医学的な考え方で診断名や症状名のみによってクスリを選んで投与している
本来は患者さんの「証」をきちんと東洋医学的に診断できる医者が「証」に合わせて処方すべき
さあ、あなたはこども診療所で漢方が処方されたらどうしますか?