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肺炎球菌ワクチンのすべて

  • 2010年9月18日

アメリカの予防接種政策

『「プレベナー」で中耳炎や副鼻腔炎も予防できるのか?』という疑問に答える前に、ちょっと回り道をさせてください。別にもったいぶっているわけではありません。最後になぁ〜るほどとおわかりいただけると思います。

アメリカでは「プレベナー」の全員接種を始めて数年間で、侵襲性肺炎球菌性疾患(IPD)が劇的に減少したという話を覚えていますね。そしてまた、感染症を撲滅しようと思ったら予防接種は全員接種でなければ意味がないということも以前にお話しました。

アメリカは予防接種を行うと決めたら徹底的に全員接種でやります。もちろん無料です。でもその前に予防接種として採用するかどうかを決めなければな りません。その基準となるのは、予防接種を行わずに病気が蔓延し続けたときに失う人的資源と将来にわたって必要となる医療費や社会保障費の支出と、病気を 撲滅するのに必要な予防接種に必要な支出とどちらが安いかという明確な基準です。

そしてこの基準を計算するときには、中耳炎だの副鼻腔炎だのといった、その病気があっても通常の社会生活を営める病気は計算外なのです。「プレベナー」でいえば、IPDだけが計算の対象になるということです。

最初に「プレベナー」は髄膜炎や菌血症といった重症の侵襲性肺炎球菌性疾患(IPD)を予防するために作られたワクチンですと言ったのはこういう意味なのです。

ですから、中耳炎や副鼻腔炎を予防できるかどうかについてのデータがないのは当然なのです。メーカーのパンフレットにもそのことはきちんと書かれて はいます。書かれてはいますが、宣伝の段階で、肺炎球菌についての説明だとはいえ、肺炎球菌が中耳炎だの副鼻腔炎を起こすと書かれたら、じゃあ、「プレベ ナー」はそういう病気も予防できるの?と考えるのは当然ですよね。日本人は付加価値が好きですからね。

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