肺炎球菌ワクチンのすべて

ジフテリアの予防接種は受けなくていいの？

ところで、肺炎球菌ワクチン「プレベナー」に入っているジフテリアトキソイドの量は微々たるものかも知れませんが、トキソイドとして抗体産生を促す反応が起きる可能性があることは否定できません。「そしたらジフテリアの予防接種はいらないんじゃないの？」と考える方がいらっしゃってもおかしくはありません。

しかし、基本的にはジフテリアトキソイドは肺炎球菌ワクチンとリンパ球の橋渡し役であって、抗体産生はほとんど起きないと考えられていますので、ジフテリアの予防接種の代わりにすることはできません。ジフテリアはジフテリアでDPT三種混合ワクチンとしてちゃんと接種を受けてください。

逆に、「肺炎球菌ワクチン「プレベナー」とDPT三種混合ワクチンの両方を接種したら過剰接種にならないの？」という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。この疑問に対しても同じ理由で「問題なし」という回答が帰ってくるでしょうが、ジフテリアトキソイドの抗体産生に関するデータはどこにも見あたりませんでした。いずれメーカーにきちんと問い合わせてみるつもりですが、今のところは「肺炎球菌ワクチン「プレベナー」に含まれるジフテリアトキソイドは予防接種としてはカウントしない」とお考えください。

Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンの同じとこ違うとこ

Hib ワクチン（商品名は「アクトヒブ」）も肺炎球菌ワクチン「プレベナー」と同じ結合型ワクチンです。肺炎球菌ワクチン「プレベナー」は結合タンパクとしてジ フテリアトキソイドを使っていますが、Hibワクチン「アクトヒブ」は破傷風トキソイドを使っています。破傷風トキソイドがHibワクチン「アクトヒブ」 とリンパ球の橋渡し役をしているという点も肺炎球菌ワクチン「プレベナー」と同じです。相違点は結合タンパクがジフテリアトキソイドか破傷風トキソイドか という点です。

ですから、破傷風予防接種の代わりにすることはできないし、過剰接種のことも問題なしと考えてDPT三種混合ワクチンの接種をきちんと受けてください。

もう一つ、Hibワクチン「アクトヒブ」と肺炎球菌ワクチン「プレベナー」の相違点があります。それは、アジュバントと呼ばれる免疫補強剤が入っているかいないかの違いです。

肺炎球菌ワクチン「プレベナー」には免疫補強剤としてアルミニウム塩（もちろん金属ではありません）が含まれていますが、Hibワクチン「アクトヒブ」には含まれていません。

このアルミニウム塩はDPT三種混合ワクチンにも昔から含まれていて、DPT三種混合ワクチンの接種部位がはれたり、赤くなったり固くなったりしやすいのはこのためと言われています。