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肺炎球菌ワクチンのすべて

  • 2010年9月18日

「プレベナー」の効果 −その2−

例によって、というのは「Hibワクチン同様に」という意味ですが、日本国内で発売される直前の短期間で行われた試験ですから、前回ご紹介したアメ リカのデータのように何万人もを対象にしたものではなく、わずか181人しか対象になっていません。これはHibワクチンの122人よりは多い数字です が、調査対象の人数としては「ドングリの背比べ」で、調査対象が増えたときに数字が多少変わる可能性もあります。

しかし、基本的なところではとてもいい成績が残されています。数字は、100人に接種した場合、接種を受けた人の何%に接種後の有効抗体価保有率が 得られたかはを表しています。結果は97.0%から100.0%で、とてもよい成績です。ワクチン界の超優等生である麻疹(はしか)ワクチンの98〜 99%に勝るとも劣らない好成績です。

次に、接種によって得られた抗体価がどの程度持続するかについて調べた結果をご紹介します。ワクチンに含まれる7価のすべてがほぼ同じ動きを見せて いますので、まとめてご説明いたします。本来グラフで記載されていますが、ここでは文章のみで説明いたします。グラフはブログ本文でご覧ください。

まず「接種前」のところでは、接種前にもかかわらず、抗体価はまるっきりゼロではないんですね。自然に獲得される免疫と考えられます。ただ、抗体は 有効濃度に達していないということがわかります。この部分が年齢とともにだんだん高くなって、5歳ぐらいになれば接種していなくても有効濃度に達するの で、わざわざワクチンを接種しなくても大丈夫ということなんですね。

有効濃度というのは「幾何平均濃度」といいますが、簡単に「抗体価」と考えてください。この抗体価は0.35μg/ml以上あれば予防に有効と考えられています。

次に、初回免疫後のところでは、7価のすべてが良好に有効濃度に達しています。そしてそのあと、追加免疫前に向かって、抗体価(濃度)は徐々に低下していきます。

そこで追加免疫を接種すると再び抗体価(濃度)の上昇が認められます。これをブースター効果といって、ブースター効果によって上昇した抗体価(濃 度)は、初回免疫で得られた抗体価(濃度)よりも長く維持されるということが知られていますが、まだ発売後の期間が短いため、そこまでのデータは公表され ていません。

以上のように、「プレベナー」はとても優秀な抗体価の上昇を見せています。数字の上からいえば、100人が「プレベナー」を接種すれば、その中に含 まれる7価の肺炎球菌による感染症にかかるのは0〜3人ということです。7価以外の肺炎球菌に対しては効果を期待することはできません。

さらに、病気の予防はワクチンによる抗体価以外にも、人間が本来持っている免疫パワーなども関係しています。ストレスや過労などでこの免疫パワーが 落ちることがあるのはよく知られています。ですから、有効抗体価保有率と発症率の間には多少なりともギャップが生じることがあります。今回ご紹介したのは あくまでも理論的な側面であるとご理解ください。

それでも優秀なワクチンであることに間違いはありません。ただし、その効果が安全に得られればということを忘れてはいけません。そこで引き続き「プレベナー」の安全性について考えてみたいと思います。

安全性には、モノとしてのワクチンそのものの安全性と、接種したときの副反応にともなう安全性の二つの側面があることをまずご理解ください。

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